天使の知恵と悪魔のささやき

アラ環おじさんです。ITエンジニアをやっています。課長でリストラ、転職でヒラ社員へ。でも好きなことして、日々楽しく過ごしています。おじさんの目でブログ書いています。英語、Zumba、ヨガが趣味です。

天使の知恵 【書評】逃げる力 百田尚樹著

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こんにちは。

いかがお過ごしですか?

今日は「天使の知恵」として「逃げる力百田尚樹著についてご紹介します。

ご存知の方は多いと思いますが、まずは著者の百田尚樹氏をご紹介します。

百田尚樹氏は「永遠の0」「鋼のメンタル」「大放言」などで有名な作家です。「永遠の0」は岡田准一主演で映画化され、大ヒットしたので多くの人が見たと思います。

作家と同時に、百田氏は色々なところで意見や時事批評を発信しております。しかも、ツイッターやラジオ・TV番組で本音トークをしてしまうため、氏の発言は時々炎上の元になります。

なんでも言いたい放題感のある百田氏です。

その、百田氏の説く「逃げる力」とはいかなるもの? に興味があって本書を読みました。

逃げるは恥だが役に立つ

逃げるは恥だが役に立つ」というTVドラマが2年前に大ヒットしました。「逃げ恥」などの愛称で知らない人はいないくらいだと思います。

ドラマのストーリーとは関係ありませんが、この本は、歴史上で有名な「逃げるは恥だが役に立った」例がいくつも紹介されております。

織田信長の「金ヶ崎の撤退」、徳川家康の「三方ヶ原の戦い」、古代中国の陳平の「金蝉脱穀の計」、同じく古代中国魏晋南北朝時代の「兵法36計」、華僑やユダヤ人の闘争、登山家野口健のエベレスト登頂断念などなど。

これらの歴史的な事実から、逃げるは決して恥でも負けでもありません。

逃げるは恥でないし役に立つ

著者は人間だけではなく、アフリカの草原で生き抜いているトムソンガゼルの例も紹介しています。彼らは効率的に逃げる方法、生きのびる可能性が高い方法を身につけているそうです。

トムソンガゼルにとって逃げることは恥ではないでしょう。生きるための必須の行動です。

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逃走は生きるための行動

人間もそう考えるべきです。ここで逃げたら周りの人や家族はどう思うだろうなどと気にする必要はなく、効率よく生きるために逃げるのです。

踏みとどまることも必要

しかし、効率よく生きるためには、時にはがまんして踏みとどまることも必要です。

では、どのような時に踏みとどまり、どのような時に逃げるのか?

その判断基準として著者はまずは「自分にとって大切なものを見定める」ことが大切だと説いています。
日頃から「自分の人生にとって、何さえあれば幸せなのか」を決めておく必要があります。

著者の場合は「家族の幸せ」だそうです。(百田氏にしては平凡ですね)

家族の幸せのためには、いやな会社に無理して勤め続け悩み、精神疾患を発病するよりも、さっさと逃げ出して、自殺に追い込まれたり、精神を患わないにほうがいいのは決まっています。

ざっと紹介しました。

今、仕事や人間関係に悩んでいる人、逃げようかどうしようか迷っている人に何かしらのヒントを与えるオススメの本です。

ぜひ読んでみてください。

 

本書のポイントです。

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また彼らは逃げる力を無駄に使いません。
例えばトムソンガゼルは、足は速いがスタミナのない敵に対しては、100〜300メートル位まで近づいた時に逃げ出すのに対して、それほど早くはないがスタミナの豊富なリカオンだと、500〜1000メートル位に近づいた時に逃げ出します。

彼らの人生成績表は白星ばかりではありません。実は結構黒星もあるのです。ただ、その黒星は決定的な敗北になっていません。つまり(上手に負けている)のです。言い換えれば、「逃げる達人」なのです。

下手なやつは逆をやるんや。勝負にしたらあかんと言う時に勝負して、勝負せなあかんと言う時に逃げるんや。

脳科学者の中野信子さんによれば、もともと、日本人は、脳科学的に争いを好まない民族だそうです。だから、勝ち負けを決する経験を避ける傾向があるようですが、さらに最近は、それに、「負ける経験をさせない」学校教育の問題も加わってきています。

設計図は途中でいくらでも書き換えることができます。いってみれば、人生は、電車ではなく、オフロードの車のようなもの。2本のレールの上を走る必要はなく、いろいろな道を走って良いし、岩場や沼地に行っても良い。少し回り道をしたっていいわけです。

倒れるまで働いた人に対して、周囲の人が高く評価してくれるかと言うと、残念ながらそんなことありません。一応、嫌われないかもしれませんが。

少し厳しい言い方をしますが、「好きな仕事」を追い求める生き方は、本当に好きな仕事を見つからなくなるよような気がします。

仕事をしているうちに、その仕事の醍醐味を感じて、好きになった、と言うなら、話は分かります。仕事の醍醐味や喜びはじっくりやってみないとわからない場合ものです。

つまり、危険な状況を一応生活の延長線上の出来事として捉え、多分大丈夫だろうとか何とかなるだろうと考えて、逃げ遅れる原因になってしまうのです。

自分にとって大切なものを見定めるという事は、言い換えれば「幸せの絶対的基準を持つこと」ßです。人生にとって何さえあれば幸せなのか。その絶対的基準を持っていると、そこから外れる事は二の次で良い、場合によっては逃げてもいいし、それでもいいと言う判断が下せるるようになります。


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◆目次◆

第1章 積極的闘争のススメ
第2章 人生の勝利者は逃げる達人
第3章 仕事から逃げる
第4章 人間関係から逃げる
第5章 逃げてはいけない時
第6章 突発的から見える
第7章 国の危機から逃れる
第8章 守るべきものがあれば、逃げられる